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ナノディスクとは?

ナノディスクはSligarらによって最初に発表されました。ナノディスクは脂質2重膜を膜スキャフォールドタンパク質(MSP)で固定したシステムです。MSPはアポリポタンパク(apo)A-Iの一部の配列を欠失させたタンパク質であり、これが脂質2重膜の塊を取り囲むことにより、ディスク状の粒子やナノディスクを形成します。


Fig.1 【ナノディスク中に再構成された膜タンパク質の概念図】
緑:膜スキャフォールドタンパク質(MSP)、灰色:リン脂質、オレンジ:再構成膜タンパク質


MSPは疎水性表面を脂質と接触させ、親水性表面を外側に向けています。この配向により、ナノディスクは水溶性が高く、膜タンパク質を界面活性剤なしで可溶化することができます。

このナノ2重膜粒子は使用されるMSPの変異体によって約7~13nmの間で異なった直径を取ります。最もよく使用されるのはMSP1D1およびMSP1D1-deltaH5ですが、他の欠失変異体のMSP1D1もナノディスクの形成に適しています。

最もよく使用されるリン脂質はコール酸ナトリウムとのコンビネーションで使用されるdimyristoyl-glycero-phosphocholine(DMPC)またはpalmitoyl-oleoyl-phosphatidylcholine (POPC) です。


Fig.2 【2種類のナノディスクへの再構成方法の概念図】
左:可溶化された膜タンパク質(オレンジ)をリン脂質(淡灰色)、界面活性剤(濃灰色)およびMSP(緑)と混合する。混合液から界面活性剤を除去することにより、タンパク質-ナノディスクの複合体が形成される。
右:構築済ナノディスクを無細胞系に加えることにより、翻訳後すぐのタンパク質が自発的に取り込まれます。


ナノディスクの利点

ナノディスクは膜タンパク質の可溶化および再構成に関して、特にリガンド結合試験、コンフォメーショナルダイナミクスの分析やタンパク質間の相互作用の試験等において、他のシステムと比較して様々な利点があります。ナノディスクは天然の膜類似の人工的環境でGPCRやトランスポーター等の膜タンパク質再構成に使用することができます。これらのナノディスクによって可溶化されたタンパク質は、界面活性剤を使用することなく、通常のクロマトグラフィーの手順で精製することができます。得られたナノディスク化膜タンパク質を使用することで、細胞内ドメイン表面および細胞外ドメイン表面のどちらにも物理的にアクセスすることが可能であり、アンタゴニスト、アゴニスト、Gタンパク質や他の相互作用のパートナーが自由にアクセスすることが可能です。

ナノディスクの利用例

ナノディスクは膜タンパク質を安定化する最良の環境であり、リガンドやアゴニスト、アンタゴニストの結合をNMRやSPR等の方法で研究することを可能にします。膜スキャフォールドタンパク質には精製、検出、固定化を効率よく行うため、HisタグやStrepタグを付加することも可能です。ナノディスクの他の用途としては、共鳴ラマン分光, Cryo-EM, MALDI, タンパク質活性化実験および時間分解蛍光分光があげられます。抗原のナノディスクへの再構成はマウスにおいて免疫応答を引き起こし、ワクチンとして使用できる可能性があることが示されています。最近では大腸菌の全ての膜タンパク質がナノディスク中に再構成され、可溶化膜タンパク質のライブラリが作製されました。ここ数年でナノディスク技術に関連する論文数は急増しており(Fig.3)、新規の利用例もさらに増加することが予想されています。


Fig.3 【ナノディスク関連論文数】
2003年1月から2013年10月までのナノディスクを膜タンパク質に利用した累積論文数 Source: PubMed


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